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交趾蓮肉香合

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交趾蓮肉香合

交趾蓮肉香合(こうちれんにくこうごう)は、鞠形の交趾の合子で、甲の盛りあがりの部分に蘭のような花紋が凹凸の強い型押しで浮き出され、身の方は細かい襞紋が巡っているものです。
蓮肉(れんにく)は、蓮(ハス)の成熟果実を乾燥させ殻を除いたもののことをいい、肉というのは『釋名』に「肉 柔也」とあり、果肉などというように植物の皮を除いた柔らかな部分のことをいいます。
交趾蓮肉香合は、「福寿草」「蘭」などと箱書されたものもあるといい、また同形で甲の花紋が単純な五弁が側方を向いたものに「蓮肉」と箱書されたものがあります。
交趾蓮肉香合は、安政二年(1855)刊『形物香合相撲』では「東五段目十六位」に位置します。
交趾蓮肉香合は、番付頭註に「色絵」とあります。
交趾蓮肉香合   交趾蓮肉香合   交趾蓮肉
交趾蓮肉   交趾蓮肉   交趾蓮肉
蓮房   石蓮子   蓮肉
蓮房   石蓮子   蓮肉

『古今要覽稿』文政四年(1821)〜天保一三年(1842)に「蓮の實七月比、いまだ熟せざるを生にて食ふ、黒く熟せしも食す、これは藥用となして、蓮肉といひて脾胃を補ひ、心を清くし、中を補ひ、志を強くし、虚を補ひ損を益す、みな實の功なり、其最もちふべき實を首とし、蓮藕と稱せるなるべし、蓮といふは實の總名にて、くはしくいへば蓮房といひて、實をつヽむものなり、實は蓮肉といひ、菂といふ、菂の内の青芽を薏といふ、この青芽菂のうちにさかしまに成てあり、故に實の下を切て泥中に入置ば五六日の中に芽を出し、葉を生じて、其まヽ置ても三年にして花を開く、地錦抄にも指南次第にて春植たる實生に秋花咲といへば、手入をなさば早く花を生ずべし、されば多く實を植て生じなば極めてかはりたる花を生ずべし、佐藤成裕曰、蓮子は四五十年を經たるも、上下を磨して泥中に植置ば生ぜざるはなしといへり、蓮子熱して黒くなりたるを石蓮子といふ、諸書に見えたり、用藥須知に蓮肉はすの實なり、一名石蓮肉といふ、熟するに至て硬をいふなり、別物にあらず」とあります。
『採藥録』文化六年(1809)に「蓮肉 ハスノミ 秋子の熟したるを採り、日乾すべし、時過れば自然に脱して不易得、藥肆に鬻ぐは、皮を去り仁許也、皮を去り久く貯へ、時を過れば、氣味大に劣れり、其儘貯へ置き、用時皮を去り、仁新して其功力尤勝れり」とあります。
『倭漢三才圖會』正徳二年(1712)に「蓮肉 菂。澤芝。石蓮子。水芝。中心者名苦薏、一名苦薏。蓮實至秋黒堅如石、剁去黒殼、謂之蓮内。以水浸去赤皮青心、生食甚佳。入藥須蒸熟、或晒或焙乾用之。」とあります・
『大和本草』宝永七年(1709)に「蓮 ゥ家の本草に、蓮肉の性甚好ことをほめたり。心脾を補ふ。今按に、C心寧~。補中強志。補虚益損の能あり。凡蓮は一物の内用る處多し。實は即蓮肉なり。又これを菂と云。實の内の芽を薏と云。味苦し蓮花蓮蕋をも用ゆ。蕋とは花心のしべなり。藕は蓮根なり。藕節をも用ゆ。葉をは荷葉と云。蓮鼻は蔕也。蓮房は實のまはりの房なり。凡草木の中、一物にて花葉根莖子等、數品を用る事多きは、蓮を第一とすへし。其花紅あり。白あり。紅白一處の植れは白は枯る。近年世上に唐蓮多く植ふ。品多し。○居家必用十一卷、水芝湯の方あり。蓮肉を極て炒燥かし一斤、粉草一兩、微炒。右爲細末毎二匁入鹽少許。沸湯点服。此湯夜坐過饑。氣乏則飮一盞。大能補虚助氣。日本にては甘草を蓮肉の二十分一加ふへし。良方也。○蓮根を煮るに鐡器をいむ。銅器を可用。醋を少加へてにれは、黒色に變せす。生藕をつきくたき、汁を取り、水飛し、陰乾にし、餻餌とす。○石蓮子とは、本草蘓頌曰。其菂至秋黒而沉水。爲石蓮子。時珍曰。石蓮刴去黒殻。謂之蓮肉。今藥肆、一種石蓮子。状如土石而味苦。不知何物也。又曰。嫩蕖性平。石蓮性温。○按本草、石蓮肉、蓮子至秋黒、堅如石なるを云。別一種あるに非す。薛立齋本草約言及李中梓カ藥性解に、蓮肉と別物とす。誤なるへし。 別に石蓮子と稱するは不可用。」とあります。
『御伽婢子』寛文六年(1666)に「河内の国、錦郡の農民が妻、項に瘤出たり。初は蓮肉の大きさなるが、漸くにわとりのかゐごのごとく、のちにはつゐに三四升ばかりの壺の大きさなり。」とあります。
『本草綱目』万暦二十三年(1596)李時珍に「六・七月開花、花有紅・白・粉紅三色。花心有黄須、蕊長寸余、須内即蓮也。花褪連房成、在房如蜂子在窠之状。六・七月採嫩者、生食脆美。至秋房枯子黒、其堅如石、謂之石蓮子。八・九月收之、斫去黒殼、貨之四方、謂之蓮肉。」とあります。
『一乗拾玉抄』長享二年(1488)に「蓮花を醫書には蓮肉と云て、水の底に万劫を経れとも不朽、又無く左右不出生依て不思儀の縁生る也。」とあります。
『飲膳正要』延祐七年(1320)に「服蓮花 太清諸本草。七月七日採蓮花七分、八月八日採蓮根八分、九月九日採蓮子九分、陰乾食之、令人不老。」「蓮子蓮蕊 日華子云。蓮子並石蓮去心、久食令人心喜、益氣、止渇。治腰痛、洩精、瀉痢。日華子云。蓮花蕊、久服鎮心益色、駐顏輕身。」「蓮子粥 治心志不寧。補中強志、聰明耳目。蓮子一升、去心、上件煮熟、研如泥、與粳米三合、作粥、空腹食之。」とあります。
『和名類聚抄』承平年(931〜938)に「蓮子 爾雅云荷芙蕖其実蓮(音連蓮子和名波知須乃美)」「蓮類第二百四十五。 芙蕖 爾雅云荷芙蕖(符芙音同蕖音渠)郭璞注云芙蓉(音容)江東呼為荷也。藕 爾雅云其根藕(音偶和名波知須乃禰)。蔤 爾雅云其本蔤(音密和名波知須乃波比)郭璞注云茎下白蒻(音弱)在泥中者也。茄 爾雅云其茎茄(音加和名波知須乃久木)。蕸 爾雅云其葉蕸(胡歌反)郭璞注云蕸亦荷字也。菡蓞 爾雅云其華菡蓞(上胡感反下徒感反並上声之重)兼名苑注云蓮花已開曰芙蕖未舒曰菡蓞也。蓮 爾雅云其子蓮(音連)其中的郭璞云蓮謂房也的謂蓮中子也。蕣蕣 文字集略云蕣(音舜和名木波知春)地蓮花朝生夕落者也。」とあります。
『本草和名』延喜十八年(918)に「藕実一名蓮、蓮華、芙蓉、和名波知須乃実」とあります。
『新修本草』顕慶四年(659)に「藕實莖 味甘,平、寒,無毒。主補中養神,益氣力,除百疾,久服輕身耐老,不飢,延年。一名水芝丹,一名蓮。生汝南池澤,八月採。(即今蓮子,八月、九月取堅黒者,乾搗破之。花及根並入神仙用。今云莖,恐即是根,不爾不應言甘也。宋帝時,太官作羊血 ,庖人削藕皮誤落血中,遂皆散不凝,醫仍用藕療血多效也)」とあります。
『神農本草經』三国時代(220〜280)に「藕實莖 味甘平。主補中養神、益氣力、除百疾。久服輕身耐老、不饑延年。一名水芝。生池澤。」とあります。

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