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安南水指

 

安南水指

安南(あんなん)は、安南(べトナム)で作られた陶磁器の総称です。
安南は、安南焼、安南手ともいい、安南染付、安南赤絵などの称がありますが、安南の語は唐朝が辺境地域の支配のために設置した六都護府の一つ安南都護府に由来し、ベトナムでは中国陶磁器の影響のもとに早くから白磁・青磁が焼かれていましたが、十四五世紀から染付、赤絵の製作も始まり、室町末期から江戸前期にかけて多くの安南が日本に舶載されました。
安南染付は、胎土は良質なカオリンが産出しないため純白にならず、全体に白化粧が施され、その上に文様を描き、灰分が多いため灰青色をおびた透明釉がかけられているため肌合いに磁器のような透明感がなく乳濁し、元、明の染付に比べ柔らかい印象となり、文様は、龍、獅子、鳳凰、鹿、鶴などの動物文と、魚、蝶、蜻蛉のような魚虫類、草花は牡丹文・唐草文などがありますが、その絵付けがゆるいのが特徴で、透明釉が釉裏の呉須をにじませて流れるような景色のものを「絞手」(しぼりで)と呼び、茶陶として喜ばれます。

『茶道筌蹄』に「紅毛 宋胡録 絵高麗 安南」とあります。
『万宝全書』に「安南(あんなん) 染付 色あしく、から物の下品なり、南京の外国にして呉洲(ごす)に同じ、され共古新の差別有、今渡りの類は澤山にして珍とせず、古きは重宝とす、道具模様色々なれ共元来下手物也、水指ふり鉢等多くは絵有。寛永手鑑に云、安南は染付唐茶碗呉洲手とはちがふ也、代金一枚斗也と云々」とあります。

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