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絵高麗水指

 

絵高麗水草紋水指 茶道文化研究所蔵

絵高麗(えごうらい)は、やや粗い白化粧の陶胎の土に、鉄描の黒い絵のあるものをいいます。
絵高麗は、文禄・慶長の役(1592〜98)以後、朝鮮から渡来した焼き物が流行し高麗物と呼ばれるなかで、この手の鉄絵のある磁器を茶人が呼び慣わしたものです。
絵高麗は、高麗物の一種とされてきましたが、現在では中国の磁州窯系の「白地黒花」という技法のものとされ、灰白色の器胎に白絵土という泥漿をかけ白下地を作り、その上に鉄絵具と筆をもって文様を描き、透明釉をかけて焼成する「白地鉄絵」と、白下地の上にさらに鉄泥漿(黒釉)を上掛けし、文様の輪郭線を錐状のもので彫刻したのち鉄泥の文様部分を残し、余白にあたる鉄泥を削ぎ落とし、元の白下地を浮き上がらせ、再び透明釉をかけて焼成する「掻落し手」とがあるといいます。
絵高麗水指は、大形の碗で、高台があり、黒絵掻落手の七宝紋、水草紋、藻魚紋、蝶紋などが取り上げられ、近年に至って水指として用いられるようになったといいます。
絵高麗は、磁州窯系だけでなく、梅鉢紋(七曜星紋)の平茶碗や魚紋鉢の他に、朝鮮李朝期の牡丹花紋などのものも含まれています。

『茶道筌蹄』に「紅毛 宋胡録 絵高麗 安南」とあります。
『万宝全書』に「絵高麗 寛永手鑑にいはく三百年の物也、薬青き物にていろいろ紋有、よつて絵高麗と云也、出来物は代金百枚或は五十枚とす、三嶋手同前の物也、其後に至り今渡り有と云々」とあります。
『茶器名物図彙』に「絵高麗 是も萬歴年頃の外国のものなり、朝鮮の産ともいへり、土性は大抵安南に類する東京(トンキン)の陶器なるべし、水指は多分壷形にして、肩の廻りに乳耳四ッあり、皆黒絵唐花等あり、内の薬皆渋色薬なり、又小豆形耳付にして平メなる水さしも有り、或はまた水屋壺に用ゆる程の大壷あり、茶わん多分皆薄ひらめにして、外に黒絵あり、内凡無地にして地の目の如く薬かゝらず、かさね焼きと見ゆ、又少し端太反りにて絵なく、無地、そと高台のあたり、黒薬かゝり、恰好少し大きなり、是等の茶わんは稀なるものなり、多分右ひらめなる茶わん多く深きはすくなし」とあります。

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