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曲物水指
釣瓶 曲物 菊絵
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曲物(まげもの)は、薄い板材を、輪状に曲げて底をつけた器物のことをいいます。
曲物は、檜(ひのき)、杉(すぎ)、檜葉(ひば)、椹(さわら)など比較的くせのない材料で薄板を作り、水指や建水などでは湯曲(ゆまげ)といい、熱湯で柔らかくした板を曲げて、薄く帯状にした桜の樹皮などで合わせ目を縫い合わせ、それに底や蓋などを付けます。
曲水指(まげみずさし)は、利休好みは、杉の曲で、指渡しが五寸八分、高さ四寸九分、厚み二分、足長さ一寸五分、高さ三分半、綴目二十一、蓋差渡し六寸一分、厚さ一分八厘、掛り二分、高さ五分となっています。
木地曲水指は、炉に用いるものとされ、一会限りの使い切りで、水に濡らし拭い切って使います。
曲水指は、綴目と足一つを前にして、蓋は杢目横に蓋裏の綴目は向うになります。
曲物水指は、利休好みの菊置上(きくおきあげ)があり、塗物では春慶塗、内に切箔を置いたもの、宗達好みの溜菊蒔絵、宗全好みの溜塗内蒔絵、宗詮好みの黒塗朱菊蒔絵、了々斎好みの酢桶(すしおけ)、認得斎好みの塗曲(ぬりまげ)、玄々斎好み浦千鳥(うらちどり)などがあります。
酢桶水指は、表千家九世了々斎曠叔宗左好みで、吉野川の鮎を酢で締め腹に鮨飯を詰め釣瓶形の桶に入れて押した吉野の釣瓶鮨(つるべずし)の桶を模ったものです。
塗曲水指は、裏千家十世認得斎柏叟宗室好みで、溜塗の片木目の曲物で内側と底を黒塗りとしたものです。
浦千鳥水指は、裏千家十一世玄々斎精中宗室好みで、春慶塗、蝶番付の割蓋が添い、蓋裏を黒塗にして千鳥の金蒔絵を施したものです。
その他、表千家十世吸江斎祥翁宗左みで、西浜御殿の柳陰亭の脇にある柳を正月の結柳としたもので作ったという柳曲水指があります。
『山上宗二記』に「釣瓶、面桶、竹の蓋置、この三色、紹鴎好み出だされ候」とあります。
『茶道筌蹄』に「曲 利休形に少庵足をつけたる也、胴のとぢめは前、蓋のとぢめは向也、風炉には不用」「同菊絵 正親町天皇へ利休進献の内」とあります。
『源流茶話』に「古へ水指ハ唐物金の類、南蛮抱桶或ハ真ノ手桶のたくひにて候を、珠光備前・しからきの風流なるを撰ひ用ひられ候へ共、なほまれなる故に、侘のたすけに、紹鴎、釣瓶の水指を好ミ出され、利休ハまけ物、極侘は片口をもゆるされ候」とあります。
『槐記』に「世上に、曲水指と云物あり、御流儀にも之ありやと伺ふ。之なき由仰らる。利休が百会に、曲物の水指と云、之なるべし。其水指の置き様の事に付て、先は上流の者は、一つ足を前にして、二つ足を後にする、自ら綴目も先なり、夫を庸軒流の茶道に、一足の方に綴目付て、二つ足を前にするあり、是を問へば、風炉の時用るものなりと云、風炉の脚が、一つ足を前にする故に、二脚を前にする為に製すと云、是を上の人に問へば、何の益に立たず、夫など裏へ返ると云ものなりと云、然れども道具の置合せは、爰一つなれば、全く無理とも申し難し、併ながら夫程六つか敷ものを、是非に風炉に出すは何事ぞやと申上ぐ。如何にも左あるべし、曲物の水指の脚には、付様変りたることあり、気が付たるやと仰らる、曾て気の付ぬ由を申上ぐ、気を付て見るべし、綴目の処が全く後ろにも前にもならぬやうに付てあり、利休の物数寄なるべしと思召て、彼の水指ばかりは、ひずめて直す爲なるべきかと仰らる。」とあります。
『茶式湖月抄』に「一、曲水指 とぢ目前へなす、蓋取やうは常の通り、木目横にす、足は炉風炉の差別なし、一つ足前にする。水にひたし拭ひて持出る」「利休好曲水指 杉 さし渡し五寸八分、高四寸九分、厚二分。蓋さし渡し六寸一分、厚一分八厘、しヽ置二分、ふたかわさし渡五寸三分。高五分、厚一分、脚長一寸五分、巾六分、高三分半。とぢ二十一」とあります。
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