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富士釜

富士釜

富士釜(ふじがま)は、茶の湯釜の形状のひとつで、口が小さく、肩から胴にかけて裾が広がり富士山の姿に似た形の釜です。
富士釜は、筑前芦屋や博多芦屋で、天正から慶長期にかけて盛んに作られ、天命では室町末期の作に鬼面鐶付のものがあります。
富士釜は、天正から慶長以後のものには霰(あられ)・霙(みぞれ)などが多く、籠目、雁、兔などの地紋のものもあり、鐶付は兔、茄子、鉦鼓など和製のものが多くあります。
富士釜は、京作では道仁の桜地紋、五郎左衛門の牡丹紋などがあります。
富士釜は、好みものでは、裏四世仙叟好の四方富士釜、表七世如心斎好の擂座富士釜、裏十三世円能斎好の南鐐富士釜、裏十四世淡々斎好の三友地紋などがあります。
富士釜は、『天王寺屋会記』天正十九年(1550)二月二十一日の田嶋勘解由左衛門会に「一 ふじなり釜」とあるのが初出といいます。

『茶道筌蹄』に「富士 如心斎好、道爺作、鬼面、羽釜、口に累座あり、鐶付の上に筋あり、鳳皇風炉に合す」とあります。
『名物釜所持名寄』に、芦屋「二代目 一富士鏊釜 千本松地紋 笹屋宗世 紹鴎所持」とあります。

   
富士鏊釜  四方富士釜  擂座富士釜

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