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野溝釜

野溝釜

野溝釜(のみぞがま)は、茶の湯釜の形状のひとつで、口造りは広口で、胴に樹上の猿が水面に映じる月に手を差し延べている猿猴捕月図を鋳出した釜です。
野溝釜は、野溝某が所持したところからこの名があるといいます。
猿猴捕月(えんこうほげつ)は、猿猴取月、猿猴捉月、猿猴探月などともいい、猿たちが井戸の中の水に映った月影を取ろうとして、猿王が木の枝につかまり、さらに五百匹の猿が次々に手と尾を結んで相い連なって井戸に降りていったところ、結局、樹枝が折れ、猿たちは水中に落ちてしまうという、『摩訶僧祇律』(まかそうぎりつ)にある話です。

『茶道筌蹄』に「野溝 天メウ作、広口、枯木に猿猴の模様、鐶付玉章、唐金蓋、野溝某所所持故名く」とあります。
『名物釜所持名寄』芦屋に「同(極上作) 一野溝 鐶付鬼面 山科三寶院門」、京作釜に與次郎作「一野溝釜 鐶付玉章 地紋枯木猿 御物蘆屋写(一旦作) 長谷川頓彌」とあります。
東晉の佛陀跋陀羅(359〜429)法顯(335〜417)訳『摩訶僧祇律』第七に「佛告諸比丘。過去世時。有城名波羅奈。國名伽尸。於空閑處有五百獼猴。遊行林中。到一尼倶律樹。樹下有井。井中有月影現。時獼猴主見是月影。語諸伴言。月今日死落在井中。當共出之。莫令世間長夜闇冥。共作議言。云何能出。時獼猴主言。我知出法。我捉樹枝。汝捉我尾。展轉相連。乃可出之。時諸獼猴即如主語。展轉相捉。小未至水。連獼猴重。樹弱枝折一切獼猴墮井水中。」とあります。

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