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不時の茶事

正午の茶事 朝茶 夜咄 暁の茶事 飯後の茶事 跡見の茶事 不時の茶事

外腰掛

不時の茶事(ふじのちゃじ) とは、案内をして、あらかじめ決められた茶事ではなく、不意に来訪した客をもてなす茶事のことです。臨時の茶事ともいいます。
定法がなく、亭主の働きの見せどころの多い茶事です。
『南方録』に「朝昼夜三時の外を不時と云、朝飯後にても門前を通掛に云入て、一服と所望の事あり、是急接也、露地は手水鉢の水改むるまでにて、早く案内をすべし、中立前露地内外雪隠等、水たふたふと打べし、床台目共に薄茶の抔、棚にありの儘にて呼入、炭加へて濡釜に改、あぶり昆布水栗の類茶請に出し、引合たる濃茶あらば濃茶にすべし、さなくば薄茶を真にはたらきてよし、炭の時棚の茶は取入べし、後座掛物巻て客へ花所望すべし、又は初座花ならば取入て、秘蔵掛物抔外題をかざりてもよし、ケ様の事時宜に寄べし、必と云にはあらず、急接の時、にしめの類茶請に出す事ひが事也、我食事の残の様にて悪し、利休壮年、奈良住人宗泉と云者、不図不時に一服所望しけるに、煮染の茶請出され、後悔のよし、度々門弟子に語られしとかや、又は前日前々日にても、朝飯後何時比御茶被下候へと申入、又は主よりも不時に一服と約諾したるは、露地数奇屋のもうけ常の会同前也、少宛の心持は、主の作用分に寄べし、勿論煮染の類、又は吸物にて一献、何にても茶菓子心次第也、不時の会いかにも秘蔵の道具抔、一色も二色も出し、所作真にすべし、心は草がよし」、『三斎伝』に「不時の客来候はヾ先如何様の体にても不苦、露地の水打にも不構、客の迎に出るが吉、但手水は入させて出べし、客手水遣ふ故也、釜を掛置不申ば火を持出、炭を置、釜を掛申中に、露地に水打たせ、花抔客に所望致べし、花被入候はヾ其中に身拵して罷出花可見、客は不入も能、主客時の様子に依べし、不時は亭主の所作多ければ、余り時宜に不及、花を入るも、亭主方の仕能き物なり、其中に湯沸候はば、先薄く可参哉と尋望みの由に候はヾ薄く点べし、其間に懐石にても茶菓子にても急き出すべし、尤俄に出来不申ものは、仮令有合候共不可出、茶抔も座敷へ聞え候所にて曳きたるが能、前の火弱く成候はヾ中立前又炭置べし、火加減能は中立させべし、座敷に釜掛ある時、不時の客来候はヾ、客座敷へ入られ、則炭斗持出し炭置、釜を勝手へ持入、湯を明て水を替釜を掛る仕方有、是も客亭主に依事なり」、『和泉草』に「朝昼晩三度の会に似ぬ様に、諸事仕成事肝要也、料理置合等の上も其心得有べし、茶道前勿論なり」、『茶譜』に「利休流不時の茶湯と云は、兼て約束無之茶を呑に尋行を云也、其行く時刻、或は朝の七つ半時に行て、茶を呑未明に帰り、又は朝飯後に行て吉、飯後は常の飯過て菓子を出す程の時刻を考、座敷に入程に行て吉、或は又晩の七つ過時分に行も吉。不時に茶を呑みに他所へ尋ね行共、右の時刻の外は無用、朝飯後は六つ半より五つ迄の間也、夕飯後は晩の八つ前より八つ過迄の間也、何方にても、其時分は飯後なるべし、又晩の七つ過に尋行は、夜分の心也、灯を見て帰る程なる吉、利休流は晩の七つ半より、石灯籠に灯を灯す事習也、依之七つ半よりは夜の茶湯也、亭主も其時刻々々を考へて、常の路地も座中も其心得して嗜むもの也、之れを不知者は、我が機嫌次第何時の差別無之尋行事不案内故の誤也」とみえます。

  1. 正午の茶事
  2. 朝茶
  3. 夜咄
  4. 暁の茶事
  5. 飯後の茶事
  6. 跡見の茶事
  7. 不時の茶事
  8. 茶事の流れ

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