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露地

飛石 蹲踞 腰掛 石燈籠

露地

露地(ろじ) とは、茶室に付随する庭のことです。

一般的に、飛石蹲踞腰掛石燈籠などが配されています。

露地は、もともとは町屋の家と家とを結ぶ細長い通路のことで、茶室に通じる路のことを路地、あるいは道すがらという意味の路次の字をあてていました。露地の字が使われるようになるのは、江戸中期とされます。

一般的な露地は、二重露地という形式で、露地門側の外露地(そとろじ)と茶室側の内露地(うちろじ)からなり、 その間に中門を設けます。
外露地には、下腹雪隠(したばらせっちん)、外腰掛待合があります。
内露地には内腰掛、砂雪隠(すなせっちん)、蹲踞(つくばい)などが設けられます。
また、露地を外露地と内露地に区別しない一重露地や、さらに外露地と内露地の間に中露地を加えた三重露地などもあります。

古い時代には、露地はなく、表に潜戸を作り、この潜戸を通り、細い通路を通って茶室に入り、手水鉢も縁側か軒の内にあったとされます。
『和泉草』に「古来は路地なしに、表に潜を切開き、座敷に直に入たる也。」、『長闇堂記』に「昔は四畳半えん差にして、六畳四畳土間屋根の下有手水、それにすわりぬけ石の石船すえ、又木をもほり、桶をもすへしなり。」とあります。
『山上宗二記』の「紹鴎座敷の指図」にみえる武野紹鴎の茶室は、西側に「脇坪ノ内」、北側に「面(おもて)坪ノ内」という塀に囲まれた通路が設けられ、茶室の北側には縁が付いていて、客は脇と面の坪ノ内を通り、縁に上がり茶室に入るようになっていました。

千利休の頃は、外露地と内露地がまだ分かれていない、一重露地だったといいます。
露地を、垣根などで仕切り、中門を配し、露地口から中門までの外露地と、中門から茶室までの内露地を作った二重露地、さらに外露地と内露地の間に中露地を加えた三重露地が出来上がってくるのは、織部・遠州の時代とされます。
『茶式湖月抄』に「利休の時代は、何方も一重露地なり。往還の道路よりすぐに露地の大戸を開き内にいり、大戸のきわに腰掛あり、板縁または簀子等の麁相なる仕立なり。露地草庵みなこれ侘の茶の湯なれば、誠に中宿のやすらひ迄なり。其の後古田織部正、小堀遠州等にいたつて、万に自由よきやうとて堂腰掛などいふもの出来て、衣装等をも着更しなり。よつて衣装堂ともいふなり。家来従臣も、ここまては自由に往来なすがゆへに、今は一重うちに塀をかけ中傴を構へ此内にまた腰掛をつけ初入に主中くぐりまで迎に出る。」、細川三斎の『細川茶湯之書』に「昔はかならず外の廬路口まで亭主迎に出たれ共、近年は廬路の内、中のしきりくヾり迄来り、外のくちひらきて、共の者までも外の腰かけにはいりて、そこにてかみゆひなどをし、衣裳をきる客人もあり。」、石州の『三百箇條』に「外路次といふ事、昔ハ無之也、利休時分ハ少腰掛なとして待合にせしとなり。金森出雲守可重虎の門の向に屋敷有之、台徳院様(徳川秀忠)へ御茶差上候時に、始て待合を作りしと也、是より待合出来始候」とあります。

また、露地に花の咲く木を避けるようになったのは、小堀遠州が露地に花の咲く木を嫌い、これは以後露地に花の咲く木を避けるようになったとあります。
『茶窓閑話』に「紹鴎が利休へ路次の事をしへるとて心とめて見ればこそあれ秋の野の生にまじる花のいろいろ此歌にて得心せよとありしとかや。しかればそのかみは路次にも花咲く木草をきらはざりしが。小堀遠江守政一其座敷の花を賞鑑させんとて。路次に花ある木を栽られざりしより。今はなべてうゑぬ事となりし」とあります。

露地の字が使われるようになるのは江戸中期とされ、『南方録』に「露地と云こと、紹鴎、利休、茶の本意これにとヾまる大切のことなるに、俊伝には幽宅以来伝授これ無き哉、またいづれその時忘却したるや、夢にもこの露地の沙汰なきゆへ、心ぎたなきことにも成けるなり。あまりに忘却して、露地と云文字さへ知らず。路地、路次、廬地などかきあやまれり。俊自筆の書等にも、路地、路次とかけり。この一事にて、俊伝の茶論ずるにたらざること知ぬべし。路次なども連続の字なれども、道路のことなり。かの露地の意味茶の大道なるを弁へずしては、何に依て茶とも湯とも云べきぞ。」、「露地は草庵寂寞の境をすへたる名なり、法華譬喩品に長者諸子すでに三界の火宅を出て、露地に居ると見えたり、又露地の白牛といふ、白露地ともいへり、世間の塵労垢染を離れ、一心清浄の無一物底を、強て名づけて白露地といふ」とあるように、露地に高い精神性が付与されるようになります。

露地に用いる道具としては、露地に出るときに履く竹皮や藺草で二重に編んだ「露地草履(ろじぞうり)」、雨や雪のときに履く「露地下駄(ろじげた)」、雨や雪のときに用いる竹の皮で編んだ「露地笠(ろじがさ)」、藁・菅・藺・竹皮などで丸く編んだ「円座(えんざ)」、蹲踞の水を汲むための「蹲踞柄杓(つくばいひしゃく)」、蹲踞に水を運ぶための「手桶(ておけ)」、冬に湯を入れ湯桶石に載せて用いる「湯桶(ゆおけ)」、露地の塵穴(ちりあな)の役石に立てかけておく青竹の「塵箸(ちりばし)」、腰掛待合に掛ける「棕櫚箒(しゅろぼうき)」、内腰掛や茶室軒下に掛ける「蕨箒(わらびぼうき)」、客が揃った合図のために叩き鳴らす板「板木(ばんぎ)」、露地の飛石の分岐点に置く拳大の石を蕨縄で結んだ「関守石(せきもりいし)」、腰掛待合に用いる「露地行燈(ろじあんどん)」、露地の道中に置く「足元行燈(あしもとあんどん)」などがあります。

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