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前土器

 

前土器

前土器(まえかわらけ)とは、風炉の火窓からの火気を防ぐために立てる、面を取った半円形の素焼きの土器のことです。
前土器は、「前瓦」とも書きます。
前土器は、白と赤との二種があり、土風炉や唐銅風炉には白を、鉄風炉には赤を用います。
前土器は、酷暑には二枚重ねて用いることがあります。
前土器は、利休形、原叟好、遠州好、不昧好など、その他流儀により好みものもあります。
前土器は、焼としては素焼以外に、楽焼、深草焼、今戸焼、秦焼、雲華焼などがあります。
前土器は、珠光時代以前には用いられていないようで、頬当風炉のように眉のない風炉が出来てから用いられるようになり、眉風炉には用いませんでしたが、堺の草部屋が初めて用いてから眉風炉にも用いるようになったといいます。

『茶道筌蹄』に「前土器 白火色、原叟手造形、白火色四品あり」とあります。
『茶湯古事談』に「風炉の前かわらけを、利休二枚かさねて立し事あり、又わり目を上へなして立し事も有、是等ハ炎暑之比ゆへ火気を坐中へ出さぬ用なりし、然るに去茶人一年利休長閑なりし元三に風炉を用し事有とて、二月の余寒烈しきに風炉を出し、しかも前瓦を高々とたて、火をミせさりしかは、心有客は内々わらひしとなん」とあります。
『茶道要録』に「前土器之事、図あり、火を顕すまじきが為也、火気を押ゆる故に、酷暑の節は二枚重ても立る也、冷しき時は一枚を下て立る、恒は一枚を以て高下見合有べし、歳若き者に此土器上を下へして、直なる方をみせて立させたる事有、総じて春秋は火を顕はし、夏はかくす也」とあります。

     
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