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黒文字

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黒文字

黒文字(くろもじ)は、茶事にだされる食事(懐石)に用いる、「主菓子」に添えて出される楊枝で、「強肴」などの取り箸としても用いられます。
黒文字は、クスノキ科の落葉低木クロモジ(黒文字)の枝を削って作ります。
黒文字は、一客一本使用するのが原則で、銘々皿には一本、縁高には人数分の本数を添えます。
ただし、食籠や盛込鉢には二本添え、客はそれを一膳の箸のように扱って各自の懐紙に菓子を取り、再び菓子器に戻して、次の客へ回します。
また、善哉のように黒文字一本ではいただきにくい菓子の場合は、黒文字とは別に杉楊枝(杉箸)一本を添え、箸のように使います。
裏千家では、「強肴」で「酒盗」などには黒文字二本を添えます。
黒文字は、流儀により種類や寸法・使い方が異なります。
表千家では、箸先を斜めに切って矢筈になっています。長さは六寸のものを用います。
他の流儀は菓子器に合わせて長さを変えます。
元来は亭主が茶事の直前に自ら削って作るもので、客は使用後、自分の分を懐紙にくるんで持ち帰えるのを礼儀としました。
『茶湯一会集』に「一期一会の茶の湯、また再ひは遇ひかたき事也。然はいつまでも此一会をしたひ、且は証拠となり残るものハ楊枝一本はかり也。故ニ大切に懐中し持かへりて、直様楊枝のうらニ年号月日何会何某亭と認メ、取かた付置もの也、亭主も其心得ニて是非手おぼへ有べき筈之事ニ而、仕入レ之楊枝なとミたりニ遣ふものニあらす」とあります。

       
杉楊枝  表千家  裏千家  黒文字

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