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砧青磁水指

雲鶴  天竜寺 七官

砧青磁水指

砧青磁平水指 銘 青海波 金沢市立中村記念美術館所蔵

砧青磁(きぬたせいじ)は、南宋時代(1127〜1279)に浙江省龍泉窯でつくられた青磁のうち粉青色の上手のものを日本で「砧手」と呼んだもので、砧青磁水指はそれらのなかから茶人が水指として見立てたものです。
砧青磁の素地は灰白色で、釉薬は厚く掛けられていて、釉肌は粉青色と呼ばれる鮮やかな青緑色をしています。
砧青磁の砧という名称は、青磁鳳凰耳花入「千声」(重文)「万声」(国宝)などの形が砧に似ていたためといい、また千利休所持の青磁鯱耳花入(静嘉堂文庫美術館蔵)の「ひびわれ」を砧を打つ「ひびき」にかけて千利休が名付けたともいいます。
砧青磁水指には、静嘉堂文庫美術館所蔵の「太鼓胴水指」や、金沢市立中村記念美術館所蔵の銘「青海波」などがあります。
砧青磁牡丹唐草文「太鼓胴水指」は、大阪鴻池家に伝来した、胴の上下に菊の擂座を浮かせ、胴の面に貼花(ちょうか)と呼ばれる型押しの牡丹唐草文を貼付けた所謂「浮牡丹手」(うきぼたんで)の深鉢で、蓋は共蓋で蓋の縁に覆輪が施され、つまみは宝珠形の芯に六弁がはじき状についたもので、元来は蓋物鉢だったものを水指に見立てたものといいます。
砧青磁平水指「青海波」は、大阪平瀬家に伝来した、無文で、口縁を六弁の輪花とし、胴の中程と裾には浮帯(ふたい)を廻らした平鉢で、元来は手や顔を洗うための「洗」(せん)だったものを水指に見立てたものといい、輪花の塗蓋が添い、蓋表に金粉字形で「青海波」、内箱蓋裏に「たらい之水さし 蓋昔ノもく付 (花押)」と千宗旦の書付があります。
砧手の平鉢には双魚などの貼付文のあるものもありますが、水指としては無文の手を喜びます。

『茶道筌蹄』に「青磁類、雲鶴、砧、天龍寺、七官」とあります。
『万宝全書』に「碪手(きぬたて) 青磁 上手の物、花生・香炉の類、土は浅黄也、時代古く大きに久敷物也」、「浮牡丹 青磁 上手の物、水さしあり、但入べそなり、浮牡丹とは内の絵紋おき上たるやうにして薬をかけたる様に見ゆる物也、道具鉢皿花生等其外いろいろおほし」とあります。

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