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天龍寺青磁水指

雲鶴  天竜寺 七官

天龍寺青磁水指

天龍寺青磁水指

天龍寺青磁(てんりゅじせいじ)は、元代(1271〜1368)から明代(1368〜1644)初期にかけて龍泉窯で作られた青磁で、釉色が黄味のある沈んだ青緑色のものを呼び、 天龍寺青磁水指はそれらのなかから茶人が水指として見立てたものです。
天竜寺の名の由来は、南北朝時代、天龍寺造営を名目とする貿易船・天龍寺船によって舶載されたからとも、夢窓国師が天龍寺に伝えたといわれる浮牡丹の香炉からともいわれます。
龍泉窯の青磁は、元代になると器は総体に大きくなり、劃花や印花、透かし彫り、鉄絵具を上からさす飛青磁(とびせいじ)といった様々な装飾を施したものが登場し、大量生産が行われ、精良な原料の不足から釉色が退化したとされますが、かえって茶味あるものとして喜ばれました。
天龍寺手水指には、藤田美術館所蔵の「青磁鉄鉢水指」や、根津美術館所蔵の「青磁浮牡丹文水指」などがあります。
青磁鉄鉢水指は、無文の鉢形の器で、鉄鉢(てっぱつ)とは、鉄製の鉢のことで、僧が托鉢で食物などを受けるのに用いる器のことですが、それに似た形のためにこの名があります。
天龍寺手の鉢には、見込に陽刻文・貼付文・押型文などを施したものも多くありますが、文様のあるものを下手とし、無文のものを珍重しました。
青磁浮牡丹文水指は、広口で胴が張り下部が窄まる壷形の所謂「酒会」(しゅかい)で、底足部と肩部に鎬文、胴体に牡丹文を浮刻したもので、元来は酒を容れたものを水指に見立てたものといいます。
酒会は、酒海壷(酒会壷)ともいい、形には大小さまざまのものがり、小は香合に用いられます。胴には牡丹、唐草、蓮弁、鎬文、捻筋(捻酒会)などが貼付、陽刻、陰刻など種々あり、無地や稀に飛青磁もあり、普通は盛り蓋、蓮葉蓋、一文字蓋などが添い、蓋には摘みがあるものとないものがります。

『茶道筌蹄』に「青磁類、雲鶴、砧、天龍寺、七官」とあります。

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