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枝炭(えだずみ)は、亭主が客の前で炉や風炉に炭を組み入れる炭点前(すみでまえ)で用いる、躑躅(ツツジ)などの細い枝が二股・三股になった小枝を焼いたもので、普通はこれに胡粉(貝殻を焼いて作った白色の顔料)を塗り白い色にしたもので、「白炭」(しろずみ)ともいいます。
枝炭は、白く塗らない焼いたままのものを「山色」(やまいろ)といい、武家茶に好まれます。
枝炭は、炭置の景色と、火移りが早いため、導火の役割もしています。
枝炭には、枝が二本のものと三本のものがあり、用い方は流儀により異なります。
枝炭は、元来は「光瀧炭」(こうたきずみ)という、炭を赤熱した状態で窯から引き出し灰をかけて消して作った白い炭を用いていましたが、古田織部が細い躑躅などを焼いて胡粉を塗るようになったといいます。
『茶譜』に「白炭は、和泉国光瀧と云所より焼出で、又河内くに、さやまと云所より焼出すを瀧炭と云説も有、尤さやまより出る炭も一段吉、光の瀧炭は、鼠色に粉の有白炭也、焼色也、利休も光瀧に増白炭は無之と云し也、右光瀧は、ゆびの太さほどにして小枝有之、或は二つに割も有之、夫より次第にほそいも有、其焼色薄白く灰色なり」「古田織部時代の白炭は小枝有之、細い躑躅などを炭に焼て、胡粉を水溶て上へ塗故、其色白粉のごとし、小堀遠州時代まで用之人多し、然ども如此炭に胡粉を塗て白するは初心なり、焼色の光瀧は勝たり」「小堀遠州時代の白炭は、織部時分の胡粉塗のしら炭に、種々品を替て取合て用之、或は竹の小枝、或は松葉を手一束に結、或は松笠、如此色々の物を集て炭にやき、胡粉を塗、胡粉に墨を入て鼠色に塗、或は埋木の灰を塗て、赤土色して用之、偏に彩色人形を見るごとし、遠州以降は、世にも初心成物と知て不用捨る」とあります。
『茶湯古事談』に「白炭ハ上古より和泉のよこ山にてやき出し、公卿官女手にとられてもよこれぬゆへに禁中にて用ひられし由。万葉集のうたに、いかにしていかにやかはやうつミなる横山すミの色のしろさに「よ」。 定家卿のうたに、いつミなるよこ山炭の白けれハとふて(と)もつかすとふ事もなし」「又河内国千釼破よりも白炭やき出し、同国光滝寺の谷よりも白炭をやき出せり、是をハ今の世に光の滝炭共いえりとなん」とあります。
『嬉遊笑覧』に「白炭ハ本草にも出、むかしよりこゝにも用ひし物と見えて、新撰六帖に源光俊、何としていかにやけばかいづみなる横山ずみの白くなるらん、今は此處河内なるにや、光の瀧より出づ、本朝食鑑に、白炭は躑躅の木を炭となし、再び火におこし、灰に埋めて白霜を生ずといへり」とあります。
■枝炭寸法及び使用数(三千家)
| 風炉枝炭 | 炉枝炭 |
表千家 | 長さ 四寸 三本枝 1本 二本枝 1本 | 長さ 五寸 三本枝 1本 二本枝 1本 |
裏千家 | 長さ 五寸 二本枝 3本 | 長さ 六寸 二本枝 5本 |
武者小路千家 | 長さ 五寸五分 三本枝 1本 二本枝 1本 管炭二本使う場合は三本枝を使う | 長さ 六寸三分 三本枝 1本 二本枝 2本 管炭二本使う場合は三本枝を使う |
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