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釜鐶

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釜鐶

釜鐶(かまかん)は、亭主が客の前で炉や風炉に炭を組み入れる炭点前(すみでまえ)で用いる、釜の上げ下ろしをするときに、釜の両端にある鐶付という穴に通す金属製の輪です。
釜鐶は、単に「鐶」(かん)と呼ばれ、「釻」とも書きます。
鐶は、直径二寸五分内外の輪で、その一端が切れ、釜の鐶付の穴に通すようになっていて、二個で一組になっています。
鐶の材質は、鉄が一般的で、南鐐、砂張などがあります。
水屋用の鐶は、釜を傷めないように鉄より柔かい真鍮の輪を使います。
鐶は、風炉・炉の別はありません。
普通の鐶は、鐶付にかけるとき右は向こうから手前へ、左はこちらから向こうへ動かしますが、普通の鐶と合わせ目が逆になっている左鐶もあり、真の鐶とされます。
鐶は、形や打ち方によって、それぞれに名称がついています。
鐶の打ち方によるものに、「石目」、「槌目」、「空目」などがあります。
鐶の形によるものに、「大角豆」(ささげ)、「竹節」、「捻鐶」、「蜻蛉鐶」、「巴鐶」、「轡鐶」、「常張鐶」、「割鐶」、「虫喰」、「素張」などがあり、大鐶は主に釣釜に用いられます。
鐶は、利休形の「大角豆鐶」(ささげかん)が標準で、大角豆のような丸いっ形で、凹凸があり滑りにくくなっています。鉈豆(なだまめ)ともいいます。
「竹節」(たけぶし)は、竹の節を模したものです。
「捻鐶」(ねじかん)は、丸や角で、全体か一部分が捻ってあるものです。
「蜻蛉鐶」(とんぼかん)は、蜻蛉の形を模して鐶にしたもので、曲線状の尾の部分を鐶付に通します。
「巴鐶」(ともえかん)は、三つ巴状の形をした鐶のことで、四角いものもあります。
「轡鐶」(くつわかん)は、馬の轡の形を模して鐶にしたものです。
「常張鐶」(じょうばりかん)は、油皿の燈心抑の形をしていて、その摘みの部分を鐶穴に通します。常張釜、九輪釜(くりん)、唐犬釜(とうけん)、香炉釜など、鐶付の穴のあき方が通常とは異なる釜に用います。「掻立鐶」(かきたてかん)ともいい、上張鐶とも書きます。
「割鐶」(わりかん)は、円形の鐶一個を縦二つに割って一対にしたもで、合わせると丸管状となる形のものです。相生鐶(あいおいかん)ともいいます。
「虫喰」(むしくい)は、鉄で巣穴を見せたものです。
「素張」(すばりかん)は、鐶の内部が空洞になったものです。
これらの鐶には、金・銀等で象嵌したものもあります。
『千家茶事不白斎聞書』に「ひる口、切口、ひるの如し、唐金大小有り、みヽず、みヽずの如し、唐金大小、諸手左右違目同じ、老人之遣物也、さヽげ、角豆の如し、丸み有り、鉄大小、しやうはり、丸きものに、別に二つの鐶有、鉄也、真鍮の鐶、大小有り、平くわん、平み有り、鉄大小、美濃紙にて巻、鳴りを留る也、他流のもの、四方釜の鐶、真鍮平鐶仕付け、名物のくわん、奈良鍛冶の作也、利休所持宗旦の書付有り、今坂本周斎に有之」とあります。
『茶道筌蹄』に「鐶、大小あり、両様とも利休所持、今用るは大の方也、シン鍮は真の鐶也、左鐶は古風也」とあります。

     
大角豆鐶  竹節鐶  捻鐶  蜻蛉鐶
     
素張鐶  轡鐶  常張鐶  巴鐶

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