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三羽

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三つ羽

三ツ羽 千家流

三ツ羽 武家流

三羽(みつばね)は、亭主が客の前で炉や風炉に炭を組み入れる炭点前(すみでまえ)で用いる、炉縁の周囲、炉壇の上、五徳の爪や風炉などを掃くための羽箒(はぼうき)です。
単に羽箒といえば「三つ羽」のことを指します。
三羽は、鳥の羽を三枚合わせて手元を竹の皮などで包み、紐で結んであるので「三つ羽」といいます。
三羽は、柄の竹皮を縛る紐を、原則として二ヶ所で結んでいます。結ぶ紐は、利休は竹皮を撚った紐で結び、宗旦は紙を撚った紐で結んだといいます。
三羽の仕立や、扱いは流儀によって異なります。
三羽は、千家流では竹皮を巻いた端を捻って、柄の端が横から見て斜めになるように下に折り返し、紙を撚った輪を折返しの所に入れ掛緒とし、それを紙を撚った紐(紙縒、元結、水引)で縛り、結び目は柄の裏側に作ります。武家流では、竹皮の端を捻らないもの、柄の端が横から見て垂直なもの、折返しを側面にし、結び目を側面、あるいは折返しを押える一ヶ所だけ側面にしたものなど種々があり、結び紐は竹皮を撚った竹皮紐で、掛緒はないのが普通です。
羽箒は、古くは一枚の羽を木や竹の軸に挿したものでしたが、利休が三枚重ねにしたとされ、以降三枚羽の「三ツ羽」が一般的になり、単に羽箒といえば「三羽」のことを指します。
千利休の「三ツ羽」は、二枚横に並べた上に一枚を乗せる形でしたが、古田織部が三本をまっすぐ縦に重ねる、現在の形にしたといいます。
羽箒は、羽の向きによって、「右羽」「左羽」「双羽」の区別があります。
羽の骨を中心にして、骨より右が広いものを「右羽」(みぎばね)といい、左が広いものを「左羽」(ひだりばね)といいます。
羽箒は、風炉用は「右羽」(向って右が広い)、炉用は「左羽」(向って左が広い)を使います。
「双羽」(もろは)は、左右の羽根が同じ幅の羽箒で、炉・風炉ともに使えます。真の炭手前に使うこともあります。

『茶道秘録全』に「紹鴎の時分迄は、一枚羽に桑之木之柄をすけて用也、宗易より三枚羽にして木柄同前也、其後三羽を下に二つならへて上に壱つあてヽ、竹の皮に而左羽は左、右羽は右之方江巻て、羽之きはは壱所に結て、本に而竹の皮をねちて留て結也、古織公作意にては、三枚羽を次第に重而三本之留を手際能折返し、弐所結て被用也、昔は余り手際過て悪き迚、出をねちて留る也、自然かさりの数に釘に懸て置様、本に懸めを付て用也」とあります。
『茶道正傳集』に「一、紹鴎の比まては一枚羽に桑乃柄を仕すけて用ゆとなり。 一、宗易の比より三枚にして桑の柄を仕すけて用ひと也、然るに宗易の比、誰の作意にてや、三枚羽を先下に二枚ならへ重様にして、其上に壱枚あてて下結して、薄紙にて柄形の能様に下まきをして、其上を竹の皮にて、左羽は左へ右羽は右へ、見て好様にす、左羽右羽共に羽の広き方迄すみ収め、柄のとめを右羽は右へ左羽は左へ揾ねりて、竹のかはのすみ収めの上へ羽の広き方へ折通し、竹のかはの少しもたるまさる様にして、柄のとめより四分斗揾り通し、共に五分程置て、竹かはを細くよりてか、又は紙のこよりにても二重廻して結、其結餘を釘にかける様に、五六分程の長さに輪にして結ひとなり、羽先の方は竹皮を三分程置て二重廻して結ひと也、但此結めは上に結ひと也、とめの方の端目は折返したる方にて結ひと也、但折返しひ竹皮の餘は結ひ目より弐分程置て切る也。 一、羽箒の長、畳十七目程を好ひとす、但右の中、柄の方六目余、残十一目不足は羽の方の長なり、又此中壱分斗羽本の羽をこき捨て、其所は残して竹皮を巻しと也、又羽の重り自然と好り、重りめは子細なし、若、羽なみ悪きは、下羽の羽斗の上の茎をいかにも細き計に羽なりの細き糸を付てすくひ返し、中の羽のくきの中を通し、上羽のくきの下をすくひ糸をひきしめ、見へさる様にして羽をかさねと也、又別に羽箒の寸法かね尺長八寸にも八寸弐三分にも、羽により八寸五分にも見立好様に、柄の長は三寸弐三分迄にも好能様に結出すと也、但柄の形何れも丸めなり。 一、宗易は、上羽さへよけれは、下羽にはさのみかまはすして、結ひとなり。 一、織部作意の三枚羽を同し様に次第にかさねて、下結ひは右に同し、柄は四角め也、留を立派に、手際よくきつく折返して、結ひ様は右の作法に同し、但、竹かはのみにて結ひと也、此作意はむくやかになくて見立劣れり。 」とあります。
『千家茶事不白斎聞書』に「羽箒之事 三ツ羽には大鳥、鶴、野鴈、トキ、山鳥、梟、鴻也、掃込は白鳥、鷺也」「一、四畳半と大目には左羽を用、向点と風炉には右羽を用、一ツ羽は酷暑に用」「一、三ツ羽に寸法なし、羽に依て大小有り、格好宜きにす、結様はこより也、尤掛る所有がよし、炭取の小さきに大き成るは悪し、炭取に依而大小可用」とあります。
『茶道筌蹄』に「羽箒 昔は、鶴、野雁、嶋フクロウ、鷲などもちひたれども啐啄斎より鶴に限る」「三ツ羽 利休形」とあります。
『茶湯古事談』に「紹鴎の比まては一ツ羽のみ也、利休の比よりして三ツ羽をも用ゆるとなん」「今の世の三つ羽は、大方竹皮を細くよりて結ふに、三斎の慰みにせられしは紙のこよりにてゆはれしとなん」とあります。
『長闇堂記』に「ひととせ、野雁と云鳥の羽箒世にはやりし、その初めは、遠江殿備中下国の時、野雁を打給ひて、其羽箒につかい給ひしより起れり」とあります。
『茶道要録』に「羽箒之事、三羽一羽あり、三羽は三枚を重て、柄の所を籜(たけのかわ)にて包み二所を結也、本の方をば籜を折返ゆひ、其緒を伸て輪にして掛るやうにも、又別に輪をして、其折返の間へも入る、利休は即籜にて結、元伯は紙捻にて結、この時は綺(より)の上に粘を引也、後に毛立故なり、柄の包やう末流の異あり、羽は鶴の本白と鵁鶄を用、此外堅く不用、一羽と云は、鶴のツボ羽と云を一枚、桑の柄を入て用、柄の削やう形有、盧地の腰掛に置箒は、鵁鶄か鶴の羽の翅の節を付て切て、籜二枚を以て、青麻縄にて結也、籜を捻ても結なり」とあります。
『茶式湖月抄』に「三ツ羽重は、羽の柄竹の皮にて包、右羽は右の方、左羽は左の方へ折返す。羽五寸、柄三寸、但し一二分の長短見合次第」とあります。

     
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