茶道 ＞ 茶道の道具 ＞ 掛軸 ＞ 墨跡 ＞ 印可状印可状偈頌 法語 疏 榜 像賛 問答語 印可状 香語 道号 大字 安名 遺誡 祭文 願文 説文 遺偈 尺牘
印可状の墨蹟では、東京国立博物館所蔵の国宝「圜悟克勤墨蹟 印可状」が有名です。 圜悟克勤（1063～1135）が法嗣の虎丘紹隆（くきゅうじょうりゅう）に与えた印可状の前半部分で、現存する墨蹟としては最古のものです。 この墨蹟が桐の筒に入って薩摩の坊ノ津海岸に漂着したという言い伝えから、「流れ圜悟」（ながれえんご）の名で呼ばれます。 大徳寺大仙院、堺の豪商茶人谷宗卓（たにそうたく）の所有を経て、のち伊達政宗の所望により、古田織部によって分割されたとされています。やがて祥雲寺に移り、その後、松平不昧（まつだいらふまい）が、金子千両と年々扶持米三十俵を祥雲寺に贈ることで手に入れたといいます。 この印可状の内容は、禅がインドから中国に渡り、宋代に及んで分派した経緯を述べ、禅の精神を説いて行くもので、「有祖已來。唯務單傳直指。不喜帶水拖泥打露布列窠窟鈍置人。蓋釋迦老子。三百餘會對機設教。立世垂範太段周遮。是故最後徑截省要接最上機。雖自迦葉二十八世。少示機關多顯理致。至於付受之際。靡不直面提持。如倒剎竿碗水投針示圓光相執赤旛把明鑑。説如鐵橛子傳法偈。達磨破六宗。與外道立義。天下太平。翻轉我天爾狗。皆神機迅捷。非擬議思惟所測。洎到梁遊魏。尤復顯言。教外別行單傳心印。六代傳衣所指顯著。逮曹溪大鑑。詳示説通宗通。歴渉既久。具正眼大解脱宗師。變革通塗。俾不滯名相。不墮理性言説。放出活卓卓地。脱灑自由。妙機遂見。行棒行喝。以言遣言。以機奪機。以毒攻毒。以用破用。所以流傳七百來年。枝分派別各擅家風。浩浩轟轟莫知紀極。然鞠其歸著。無出直指人心。心地既明無絲毫隔礙。脱去勝負彼我是非知見解會。透到大休大歇安穩之場。豈有二致哉。所謂百川異流同歸于海。要須是箇向上根器具高識遠見。有紹隆佛祖志氣然後能深入閫奧。徹底信得及直下把得住。始可印證堪為種草。捨此切宜寶祕慎詞。勿作容易放行也。」（祖有りて已来、唯だ単伝直指（たんでんじきし）に務め、帯水拖泥（たいすいたでい）、露布を打ちし巣窟を列ねて人を鈍置するを喜ばず。蓋（けだ）し釈迦老子、三百余会機に対して教を設け、世に立ちて範を垂れ、太段周遮（だいだんしゅうしゃ）なり。是の故に、最後は径截省要（けいせつせつよう）、最上の機に接す。迦葉自り二十八世、少くして機関を示し、多く理致を顕わすと雖も、付受の際に至りては、直面に提持せずということ有らざる靡（な）しと。刹竿（せつかん）を倒し、碗水に針を投じて、円光の相を示し、赤旛（しゃくばん）を執りて明鑑を把し、鉄橛子（てつけつし）の如く伝法の偈を説く。達磨、六宗を破し、外道のために義を立てて、天下太平なり。我は天、爾（なんじ）は狗と翻転す。皆な神機迅捷にして、擬議思惟の測る所に非ず。梁に到りて魏に遊ぶに洎りて、尤も復た顕わに言う、教外別行、単伝心印と。六代の伝衣、指す所顕著なり。曹溪の大鑑に逮（およ）んで、詳（つまびら）かに説通宗通を示す。歴渉既に久し。正眼を具する大解脱の宗師、変革して塗を通じ、名相に滞らず、理性言説に堕せざらしむ。活卓卓地に脱灑自由の妙機を放出し、遂に棒を行じ喝を行じ、言を以て言を遣り、機を以て機を奪い、毒を以て毒を攻め、用を以て用を破るを見る。所以に流伝七百来年、枝分かれ派別かれ各家風を擅（ほしいまま）にし、浩浩轟轟、紀極を知る莫（な）し。然れども其の帰著を鞠（きく）せば、直指人心を出ること無し。心地既に明らかなれば絲毫の隔礙無く、勝負、彼我、是非の知見、解会を脱却し、大休大歇安隠の場に透到す。豈に二致有らん哉。所謂、百川流れを異にすれども同じく海に帰するなり。要は須（すべか）らく是れ箇の向上の根器、高識、遠見を具し、仏祖を紹隆するの志気有って然る後、能く深く閫奧（こんおう）に入り、徹底信得及して直下に把得住して、始めて印証して種草と為すに堪う可（べ）し。此を捨てて切、宜しく宝秘し詞を慎むべし。容易に放行を作すこと勿れ。）とあります。 ちなみに亡失した後半部分は、『圓悟佛果禪師語録』に「五祖老師。平生孤峻。少許可人。乾嚗嚗地壁立。只靠此一著。常自云。如倚一座須彌山。豈可落虚弄滑頭謾人。把箇沒滋味鐵酸[飢-几+舀]劈頭拈似學者令咬嚼。須待渠桶底子脱。喪卻如許惡知惡見。胸次不掛絲毫。透得淨盡。始可下手鍛煉。方禁得拳踢。然後示以金剛王寶劍。度其果能踐履負荷。淨然無一事。山是山水是水。更應轉向那邊。千聖籠羅不住處。便契乃祖已來所證傳持正法眼藏。及至應用為物。仍當驅耕夫牛奪飢人食。證驗得十成無滲漏。即是本家道流也。摩竭陀國親行此令。少林面壁全提正宗。而時流錯認遂尚泯默。以為無縫罅無摸索壁立萬仞。殊不知。本分事恣情識摶量便為高見。此大病也。從上來事本不如是。巖頭云。只露目前些子。箇如撃石火閃電光。若搆不得不用疑著。此是向上人行履處。除非知有莫能知之。趙州喫茶去。祕魔巖擎扠。雪峰輥毬。禾山打鼓。倶胝一指。歸宗拽石。玄沙未徹。德山棒臨濟喝。並是透頂透底。直截剪斷葛藤。大機大用。千差萬別會歸一源。可以與人解粘去縛。若隨語作解。即須與本分草料。譬如七斛驢乳。只以一滴師子乳滴悉皆迸散。要脚下傳持相繼綿遠。直須不徇人情。勿使容易。乃端的也。末後一句始到牢關。誠哉是言。透脱死生提持正印。全是此箇時節。唯踏著上頭關捩子底。便諳悉也。隆公知藏。湖湘投機。還往北山十餘年。真探賾精通本色衲子。遂舉分席訓徒已三載。予被睿旨。移都下天寧。欲得法語以表道契。因為出此數段。宣和六年十二月中。佛果老僧書。」と見えます。
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