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柱隠
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柱隠(はしらかくし)とは、掛物で幅の狭い本紙を、輪補(りんぽ)に仕立て、風帯を一本だけ中央に付けたものをいいます。
柱隠は、元来床に掛けるものではなく、書院飾の真の道具として、書院床柱の折釘に喚鐘の撞木も訶梨勒も掛けないときに掛けるのが定法であるといいます。
柱隠は、一本風帯にしたのは小堀遠州の好みによるといいます。
『石州三百ヶ条』に「柱隠といふ懸物の事 是は細き掛物也、幢補にいたす時は広くして柱隠の詮なき故、からなず輪補絵にいたすもの也」とあります。
『三百箇條』に「柱隠といふ掛物之事 口伝曰、かならず柱に掛候といふにはあらず、むかしより如此申伝候也、怡渓曰、細長なる掛物、風帯は中に一つ、剣先にも常之通にもする、剣先のときは、露にても花にても三所に付る、亦は風帯二筋にするも有、掛物の広狭、物数寄入こと也、無住曰、是は細き掛物也、幢補絵にいたす時は、広くて柱隠しの詮なきゆへ、かならず輪補絵にしてよし、亦幅を広くして用んとおもふときは、其割合を以て幢補絵にして可用歟、山曰、柱隠しにて用るときは輪補絵にしてよし、亦幅を広くして用んとおもふときは、其割合を以て幢補絵にして可用歟、曰、柱隠しと云掛物有といふ義也、細く長く風体一筋有、その風帯を剣先にいたし、露を三つ付け候也」とあります。
『茶道表具書』に「柱隠の墨跡と申て、細き墨跡あるもの也、此表具別義なし、但風帯一筋太く付て、先きをけんさきにして、ふさを角々に三つ付る也、此とふり也、風帯を細く付て、常の通二本付るも有、両色とも別の子細なし、柱へ掛るといふ義にも無之候、四尺五寸床はどへかけ、片ぢく面白、細候故、柱かくしと申候」とあります。
『槐記』に「百拙の話に、此頃南都にて、茶湯に参りたり、古風の由にて、色々変りたることの侍りける中に、一軸は松花堂の布袋の画に、遠州の讃のあるにて候が、画も讃も菱形に、表具も菱に致したる、尤も遠州の好みなる由なし、珍しきことに覚へたり。例令ば如此にて、一文字も中も、押廻し菱形にして、上下を切込たるものなり、絵も菱形を、ろくに立てヽ書きたれば、讃も菱形に書かれたり、風袋は一つ風袋なりと申上ぐ。珍しき事に思召たり、流石に遠州の物数寄なり、総じて一つ風袋にすること、当世に柱かくしなどの細きものに、一つ風袋にすることは、其由なきことなり、御前にも獅子吼院の絵を、常修院殿に表具を御頼みありしにも、風袋は二つなり、此度百拙が話たりし一角のあるものは、二つ風袋、其由あり、加様の表具は、一つ風袋にてなくては叶はぬことなり、面白きことなり、四角の角を立るか、擬宝珠なりの物などは、加様なくては叶はぬことなるべしと仰らる。柱かくしの掛物を、仮にも床に掛ることは、其由なきことなり、柱かくしと云物は、書院飾の時、真の道具なり、書院飾に、床柱へ折釘を二つ打て、一つは喚鐘釘と云ひ、一つは訶黎勒釘と云、東山の書院の方如此、書院の床、喚鐘を釣りて、其鐘木を掛る、又訶黎勒を掛る(客に毒物ある時は、黎即ち割ると云)、若し鐘木も訶黎勒も飾らぬ時は、柱かくしの掛物を掛る、是れ定法なり。」とあります。
『君台観左右帳記』に「書院上に喚鐘をつられ候時は、必右の柱には[木を掛られべし。喚鐘をのけてつり、香炉などつられ候時は、しゆもくをのけて、何にても別の物掛らるべし。」とあります。
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