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名物裂

金襴 緞子 間道  風通 繻珍 天鵞絨 印金 莫臥爾 更紗

仕覆

名物裂(めいぶつぎれ) とは、主として室町の足利義満・義政時代以降に中国から舶来した、宋・元・明時代の中国で織られた、金襴(きんらん)、緞子(どんす)、間道(かんとう)を主に、(にしき)、風通(ふうつう)、繻珍(しちん)、天鵞絨(びろうど)、印金(いんきん)、莫臥爾(もうる)、更紗(さらさ)などの裂地で、名物といわれる茶器の仕服掛物の表装などに使われたものをいいます。

「名物」の語の初出は、文禄4年 (1595)7月15日の奥書のある別所吉兵衛の『名器録』の 中に「銘物地也」とあるものとされ、漢東19種、古金襴32種、緞子11種の名称と略説並びに時代を書いています。

元禄7年(1694)刊の『萬宝全書』には、後に名物裂と呼ばれるようになった裂類を、「時代裂」 と称しています。

この時代裂を、名物裂として明確に規定したのは、寛政3年(1791)に上梓された、松平不昧の『古今名物類聚』名物裂の部二冊で、緞子、金襴、間道及び雑載に分けて、緞子29種38裂、金襴49種79裂、間道14種23裂、雑載14種26裂の106種166裂の名物裂を彩色によって図示しています。

さらに、文化元年(1804)刊の『和漢錦繍一覧』には、緞子143種、金襴145種、間道35種など342種を収録しています。

江戸時代の中期になると、茶道各流派独自の名物裂が選定されるようになり、その結果、その総数は、400種類を超えるほどにもなるといいます。

名物裂は、その由来により様々な名が付けられ、所蔵していた神社仏閣の名称、僧侶・大名・茶人などの人物名、裂地の文様、茶器などの名物品、生産地または所在地、能装束として使われる演目に関するものなどがあります。

また到来時期から、室町初期(足利義満の頃)の「極古渡り」、室町中期(足利義政の頃)の「古渡り」、室町中期〜末期の「中渡り」、室町末期〜桃山の「後渡り」、江戸初期の「近渡り」、江戸中期の「新渡り」、江戸中期以降の「今渡り」などと分けることもあります。

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