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砧手 天龍寺手 七官手 飛青磁 下蕪 中蕪 蕪無 二重蕪  経筒  浮牡丹

重文 青磁砧形花生  梅沢記念館蔵

砧(きぬた)は、青磁花入の一種で、肩が張り、どっしりとした胴に、筒型の長い頸のついた形のものをいいます。
砧形は、器表に紋がなく、「鳳凰耳」「鯱耳」「鯉耳」などの耳付で、口が盃形に開いたものが多数です。
砧花生は、天文二十三年(1554)の奥書を持つ『立花図巻』では、器形の名称記載はなく「鳥耳又魚耳 耳ノナキモアリ 盃ノナキモアリ」とあり、慶長六年(1603)の奥書を持つ池坊専好自筆相伝書『花瓶之画図』には「ツチ」「槌花瓶(ツチクワヒン)」とあり、元禄七年(1694)『万宝全書』には、耳なしのものを「槌花瓶 青磁物」、耳付のものを「碪 キヌタ 青磁之花生」としています。
砧の名は、青磁鳳凰耳花入「千声」が、その姿が砧(擣衣)を思わせるところからか、後西天皇(1638〜1685)により『和漢朗詠集(擣衣)』にも載る白楽天の「八月九月正長夜 千聲萬聲無了時(はちがつくがつまさにながきよ せんせいばんせいやむときなし)」(『聞夜砧』)から「千声」と命銘されたことが『槐記』にあり、また千利休所持の青磁鯱耳花入(千利休・伊達家・岩崎家伝来・静嘉堂文庫美術館蔵)の「ひびわれ」を砧を打つ「ひびき」にかけて千利休が砧と名付けたともあります。
国宝 青磁鳳凰耳花生 銘万声 和泉市久保惣記念美術館蔵  千利休所持 青磁鯱耳花入 静嘉堂文庫美術館蔵
国宝 青磁鳳凰耳花生 銘万声  千利休所持 青磁鯱耳花入 
青磁砧形花生 金沢市立中村記念館蔵  青磁砧之図
青磁砧形花生  青磁砧之図

『立花図巻』(陽明文庫)に「鳥耳又魚耳 耳ノナキモアリ 盃ノナキモアリ」とあります。
『山上宗二記』に「一 碪の花入 松枝隆仙 せいし也、但当世は如何、口のせはき物也、のこひおとしの卓に居る」とあります。
『宗湛日記』天正十五年正月十六日朝、松江隆仙会に「きぬた花生は、青磁のいろこくして少ひヾきあり、高七寸、口広一寸九分あり」とあります。
『分類草人木』に「一、砧 松枝隆仙所持、天下一也。ひびき有とて砧と名付也。」とあります。
『茶道筌蹄』に「キヌタ 砧の杵の形、但し此手の品通してキヌタと云ふ。」とあります。
『槐記』に「享保十二年三月廿九日、参候、青磁の花生、これも拝見して見をぼゆべし、きぬた青磁の至極也、是は大猷院殿より東福門院へ進ぜられ、東福門院より後西院へ進ぜられ、後西院より此御所へ進ぜられし物也、後西院の勅銘にて千声と号す、擣月千声又万声と申す心にやと申上ぐ、左あるべしとの仰也、是に付て陸奥守にある、利休が所持のきぬたの花生は、前の方にて大にひヾきわれありて、それをかすがいにてとじてあり、利休が物ずきとは云ながら、やきものにかすがいを打こと、心得がたきことなり、景気にてもあるべきか、此われのある故に、利休がきぬたと名付けるとなん、響あると云こヽろ也と仰也」とあります。
白居易の『聞夜砧』に「誰家思思婦秋擣帛、月苦風凄砧杵悲。八月九月正長夜、千聲萬聲無了時。應到天明頭盡白、一聲添得一莖絲。」(誰が家の思婦か秋に帛を擣つ、月苦え風凄く砧杵悲し。八月九月まさに長き夜、千声万声了む時なし。まさに天明に到らば頭ことごとく白かるべし、一声添え得たり一茎の糸)とあります。

     
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