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花蛭釘

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花蛭釘

花蛭釘(はなひるくぎ)とは、床の間の天井に、釣花入を吊るすために打つ蛭釘のことです。
花蛭釘は、利休のころまでは床天井の中央に打ち鎖をかけていましたが、のちに床天井の前後中央で左右は下座寄り三分の一の位置に打つのが定法となります。
花蛭釘は、取り付ける位置や蛭釘の向きは流儀により異なります。
表千家では、通常床天井の前後中央で左右は下座寄り三分の一の位置に、蛭先を下座に向けて打ちます。
裏千家では、通常床天井の前後中央で左右は下座寄り三分の一の位置に、一間床以上では下座寄り四分の一の位置に、鉤先は床の間の中心に向けて打ちます。
武者小路千家では、通常床天井の前後中央で左右は下座寄り三分の一の位置に、蛭先を下座に向けて打ちます。

『烏鼠集』に「船の釘、同(うしろへ二寸よすへし)、まん中に打は本也、うしろへ二寸よすへし、名物は必中たるへし、そさう成舟は、上座のかた、軸さきにうつか」とあります。
『石州三百ヶ條』に「船の花入懸候事 船を懸候高さは、向の壁の花入懸候釘の高さに船の底当るほとに釣なり、尤、花により少の高下は有なり、山吹、藤なと盛花は少上てよし、椿なとの類は少下けても釣る也、昔は床の天井の真中にひるかぎを打也、かきの先を前へする也、宗屋居士よりおとし懸の左右は真中に打なり、花の枝出張、座中せはき時は床の内に釣てよし、客も小勢、花もつかへぬ時は、おとし懸もよし、昔は出船、入船の説有、宗易居士より是を不用、朝晩共に花の、客に向ひ候様に入る也、宗屋は舟にくさり、へさきと、ともとの差別有故、あしきとてくさりを後先より一筋にて用ひられ候、是織部の船也」とあります。
『茶道筌蹄』に「同ひる鍵 床の天井は三つ割、一つ分見こみの方興行、真中かぎ先は向ひて花くさりを左の手にてかくるやうにするなり」とあります。
『南方録』に「休に大つり舟、小つり舟あり、いづれも床の天井真中に小びるを打てつらるゝ。宗無も小つり舟所持、休と同前。紹林名物の小舟所持。これは床のをとしがけ内の方に釘打てつらるゝ。休に尋申たれば、古来定法なし。めいめい分別次第のことなれども、をとしがけにつりては、小座舗花むかづきて然るべからず、床ぶちの上に当て、つりもの危うき心もあり。床はいつも大小ともに真中につるなりと云々。感状のことなり。」とあります。
『茶式湖月抄』に「釣舟の小蛭 床の天井の真中に打、をとしがけに打ては小座敷花むかへきて然るべからず、床ぶちの上にあてヽつりもの危きこヽろもあり、利休のとき田辺屋紹林は落がけの内の方に釘打といへり、宗無は休と同しく、但し、板床には釣舟無用なり」とあります。

     
外観   間取   天井  
     
出入口     台目構   水屋

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