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啄木

本紙 一文字 風帯 露花  啄木 中廻 

啄木
啄木(たくぼく)とは、掛物の掛緒(かけお)と巻緒(まきお)のことです。
啄木は、本来は掛緒と巻緒に用いられる平紐の名称のことですが、転じて緒のことも指すようになりました。
啄木は、啄木組と呼ばれる組紐の組み方のひとつで、色糸を交えて斑(まだら)に組み出したものが、啄木鳥(きつつき)がつついた跡の木肌のように見えるところからこの名があります。
啄木は、現在の表具組はこの小石打を啄木紐と称している。
掛緒と巻緒に用いられる紐には無地の色物もあり、この場合は啄木とは呼びません。
掛緒とは、掛物を吊り下げるとき軸釘(じくくぎ)に掛けるための紐のことです。
巻緒とは、掛物を保存するときに軸を巻いて固定するため掛緒に取り付けられた紐のことです。
掛緒は、八双の山に二ヶ所打付けた両方の環に紐の両端を結びつけ、そこに巻緒を取り付けます。
巻緒は、自在に動くように片方の端を掛緒に通して輪にして縫い止めて取り付けます。
巻緒は、掛物を掛けるときは、掛緒の下座側に引き寄せておきます。絵の場合は印のある方へ寄せることもあります。

『茶道筌蹄』に「啄木 真田の打様の名也、浅黄と紺との打分を云ふ、まき緒とも云ふべし」とあります。
『和漢三才図会』に「啄木、紐之名以絲組之、其色班班而如鳥之啄木痕、故名也」(啄木、紐の名なり、糸を以て之を組む、その色班班として鳥の木を啄む痕の如し、故に名くなり)とあります。
『安藤随筆』に「腐纜集に云く啄木の組の訓は彼の鳥の木をはみたる形をうつしたり乱世略して永禄の頃木綿渡りて後木綿にてオドシたり」とあります。
『壒嚢鈔』に「組をタクホクと云、文字如何。字には啄木と書く。喩へは組の色の班々として如鳥啄木痕故啄木と云云」とあります。
『利休百首』に「墨跡を掛ける時にはたくぼくを末座の方へおおかたは引け」「絵の物を掛ける時にはたくぼくを印ある方へ引きおくもよし」とあります。
『古織部相伝書』に「まきを必右へひき申候、併、此緒、数寄道具にて無之候間、随分みへ不申候様に尤之事」「絵讃之時は、巻を必印のかたへ引候へ共、自然はちかひ候ても不苦候」とあります。

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