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古銅花入
桃尻 桃底 曾呂利 鶴首 鶴一声 角木 蕪無 下蕪 中蕪 把綿 経筒 槌 薄端 釣船 柑子口 桔梗口 砂張
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古銅(こどう)は、古代の銅器、またそれを写した銅を主体にした錫・鉛の合金で、古銅花入は花入の中で「真」の花入とされています。
古銅花入で、茶道で主に用いられたのは、中国宋から明頃につくられたもののようです。
古銅花入は、古くは尊・罍・觚・壺などの酒器として用いられた青銅器を後世写して花生としたものです。
古銅花入には様々な形がありますが、全体の姿から「槌」「中蕪」「下蕪」「蕪無」「薄端」「把綿」「角木」「杵」「経筒」「四方」「六角」「八角」「月」「舟」「鶴首」「桃底」「桃尻」「曾呂利」「壺」「扁壺」など、口造から「広口」「細口」「柑子口」「桔梗口」「土拍子口」「鰐口」「耳口」など、耳の形から「管耳」「雲耳」「角耳」「蝶耳」「魚耳」「象耳」「龍耳」「痴龍耳」「鳥耳」「鳳凰耳」「鐶耳」「遊鐶」「不遊鐶」などと呼びならわしています。
古銅花入は、日本では鎌倉時代より禅僧や随伴した商人等によりに舶載されたものが仏前供花に用いられ、室町初期には座敷飾りに用いられるようになり、室町時代には花生の主役となり、室町将軍家や大名家などの座敷で飾られた唐物花瓶が尊重され今日に伝えられています。
舶載されたもののほかに日本でも写し物が多く作られたようで、東山時代にはすでに唐物と和物の区別が難しくなっています。
また、古銅と「唐銅」「胡銅」の別は明確ではないようです。
『山上宗二記』で名物とされている古銅花入は、耳のない細口の花入のみです。
桃山時代になると国焼や竹花入が生まれ、やがて花入の主流になっていき、古銅花入はあまり用いられなくなっていきます。
砂張は、東南アジアから中近東にかけて広く用いられていますが、ポルトガルやオランダ船などの南蛮貿易によってもたらされたところから「南蛮砂張」とも称され、東山時代既に南蛮ものとして珍重されていました。
南蛮砂張の釣舟花入は、「松本舟」「針屋舟」「淡路屋舟」の「天下三舟」とか「茜屋舟」「艜舟」を加えた「天下五舟」などと持て囃されました。
『君台観左右帳記』東北大学本に「胡銅之物 これは何とも可申候はす候、公方様御物ニハ三具足、花瓶なとに名物御座候へとも、つねの世上に今ある物共にて候間、不及申候。和漢の見やうは其物によりては口傳ならては難申候。繪胡銅の物大事にて候。紋のあるものはやすく候。無文の物大事に候歟。紫銅、宣旨銅は所々に金ましり候」とあります。
『山上宗二記』に「一 もヽそこ 関白様に在 むかし珠光所持、天下一の名物也、但ことうの花入、五とをりの文をさし候。四方盆に居る。一 もヽそこ 昔引拙所持、是も文を五通りさし候、四方盆に居る、平野に在。一 もヽしり 是も同名物也、文を五とをり指候、四方盆に居る、京医師道三在。右天下三つ之花入也、但此外もヽしり好悪取交七つ八つ在、それは数寄に不入。口伝在之。」「一 そろり 関白様に在、けいしょうの盆、昔紹鴎所持、天下無双の名物也、但コトウの無文なる花入也。紹鴎。一 そろり 京の帯屋宗甫に在、是もコトウの無文なる花入也、次の名物也、四方盆に居る。一 そろり 京の施薬院并曲庵両人も所持也、四方盆に居る。右之外そろり七つ八つ数在、是は何もぬるき物にて候。」「一 鶴一声 堺千宗易所持、コトウの無文なる花入、薄板に居る。」「一 つちの花入 本御所様に在、昔紹鴎所持也、関白様より被参候、紫銅の無文なる花入也、四方盆に居る。」「惣別古銅の花入は口のせはき物也、数寄道具也、青紫の物は口の広か名物也、数寄道具也。」「一 つのき 観世彦左衛門所持、昔道陳目聞にて三好実休所持被成、観世彦左衛門に拝領させられ候、紫銅の無文なる花瓶也、人知ぬ数寄道具也、但し薄板に居る。」「一 釣船 くわてき、惣見院殿御代に火入失申候、昔紹鴎所持、天下無双の花名人也、舟に花の生様口伝多之、又舟に密伝あり。右釣船の数多し、但し当世は如何、主遠き物也。釣舟道陳昔所持、六百貫宿屋町赤根屋へ行、末彼所にあり、宗易舟の内にて数寄道具之由被申候。」とあります。
『烏鼠集(うそしゅう)』に「古銅の物 かなはたさくりとしたるハ漢也、又ためぬるりとしたるハ和、き扨見事なるハ漢、轆轤め有ハ和」とあります。
『逢源斎夏書』に「一 花入之名 きぬた・かふらなし・魚耳・中かふら・かうじ口・くるミ口・細口・ぞろり・きねのおれ・古銅・紫銅」とあります。
『茶道筌蹄』唐物金類に「ぞろり 細口輪香台。桃底 細口輪香台なし。薄端 広口を云ふ。把綿 把綿の形なり。角木 角のりうご。野燈籠 胴ばり燈籠の形なり。柑子口 口つくり柑子の形になる。経筒 伊三郎にて写しあり、古へ経巻を入し筒也。砂張舟 珠光所持を貨狄舟と云ふ、珠報所持を松本舟と云ふ、此二品茶人砂張舟を用る初め也。西瓜金 西瓜いろの金を云ふ。もうる金 宣徳時代もうる国の製。宣徳金 明の宣徳時代に製するを云ふ」とあります。
明の張謙徳(1577〜1643)の『缾花譜』に「銅器之可用挿花者、曰尊、曰罍、曰觚、曰壺、古人原用貯酒、今取以挿花、極似合宣」「古無磁瓶、皆以銅為之、至唐始尚窯器。厥後有柴、汝、官、哥、定,龍泉、均州、章生、烏泥、宣、成等窯、而品類多矣。尚古莫如銅器。」「瓷器以各式古壺、膽瓶、尊、觚、一枝瓶為書室中妙品。」とあります。
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桃尻 | |
桃底 | |
曾呂利 | |
鶴首 |
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鶴一声 | |
角木 | |
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下無 |
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中無 | |
把綿 | |
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槌 |
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