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粉引茶碗

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茶碗

粉引茶碗(こひきちゃわん) とは、高麗茶碗の一種で、李朝初期から中期にかけて全羅南道の長興、宝城、高興、順天で焼かれていたとされています。粉吹ともいいます。
粉引の名前は、白い粉が吹き出したように見えるところに由来します。
鉄分の多い黒褐色、砂混じりの淡褐色の素地に、白泥(泥状の磁土) をずぶ掛けし、高台(こうだい)裏をも含む素地全面に白化粧を施し、そのうえに薄く透明釉を掛け、やや還元気味で焼き上げたものです。
李朝で、「御器は白磁を専用す」とされたように、白磁が国王専用の御器とされ、一般庶民の白磁の使用が禁じられたため、白磁の代用として焼かれたと考えられています。その後、1602年に王朝の官僚に使用が許され、1720年には一般人にも許可されるようになり、19世紀には白磁が大衆化し、粉引は姿を消して行きます。
粉引は、釉薬の下にまた別の土の層があるため、素地と釉薬が直接触れておらず、強度的には弱いが、独特の柔らかな釉膚で、白い色調があたかも粉を引いたように見えます。
胴の一部に、釉薬がかからず土が見える部分で、特に褐色に発色しているものを「火間(ひま)」といい粉引の見所とされます。
また、長く使い続け釉の上に「雨漏り」と呼ばれるしみができたものも景色として好まれています。
茶碗では、「三好粉引」、「松平粉引」が著名です。
なお、高台まで白化粧されていないものは「無地刷毛目」と呼ばれます。

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